Introduction

あなたの心の故郷は、きっと暖かい。

都会と地方に引き裂かれた家族。現代を生きる私たちの縮図を描く。

image 都会で働く長男。故郷の広い家で、一人暮らしの母親。その長男が結婚することになった。花嫁は、都会育ちで、田舎での生活など考えられない。
 映画「能登の花ヨメ」の主人公たちのシチュエーションは、そのまま現代の縮図。おそらく同じような状況にある人たちが今の日本には何十万人、何百万人といるに違いない。故郷に残した母親や父親の老後をどうするのか、いずれ田舎に帰るのか、老いた両親を東京に呼び寄せて同居するのか、いまのままの状態が両親の死まで続くのか。
 選択に正解はないけれど、映画の主人公のみゆきは、田舎で暮らす夫の母親のもとに出向いて、都会と地方に引き裂かれて暮らさざるを得ない家族のあり方に真摯に向き合う。そしてほんの少しだけだが、将来の選択へのヒントだけは見つける。大きな感動とともに。
 都市と地方の格差の増大、過疎化と人口集中、高齢者社会‥‥「能登の花ヨメ」は、現代を生きる私たちが切実に向かい合う現実を直視するきっかけを提供するに違いない。

image ヒロイン・みゆきはNHK連続テレビ小説「あぐり」でデビューの田中美里、対する姑・松子を演じるのはTBS「渡る世間は鬼ばかり」待望の新シリーズ放映中の大女優・泉ピン子、ふたりを見守るフジばあさんに漫才協会の名誉会長もつとめる内海桂子という豪華キャストが競演。そして、甲本雅裕、松尾貴史、本田博太郎ら実力派が、厳しい環境のなかで心を寄せあって暮らす人々の優しさを紡ぐ。
 監督は本作が2作目となる白羽弥仁。神戸の震災で従兄弟を亡くしたやるせない思いを能登半島地震に重ねて描き、「HANA-BI」の山本英夫のカメラが勇壮な能登のキリコ祭りと暖かな故郷を映しだす。大江千里が手がけた初サントラはどこか懐かしく、岩崎宏美の主題歌「始まりの詩(ルビ・うた)、あなたへ」が心に染みわたる。